A Missing One 第1話『はじまりのとき』その1


 そこは、夜の学校は不気味さに溢れていた。普段はなにげない風景も、ひとたび暗くなれば恐怖の巣窟になる。いつもの校舎の窓はなにかがそこにいるような視線を感じるし、先の見えない運動場だっていつどこから何が飛び出してくるかわかったものではない。うだるような暑さは残っているが吹いてくる風はいつもより涼しく、それが汗をかいた体をなぶり体温を奪っていく。「光がないだけでこうも変わるもんかなー…」と、1人呟くものの、勿論誰からの返事もない。「…まっ、俺だって多少は怖いわけで…」気分を紛らわせるために独り言を言わなきゃならないような俺がなんだってわざわざ夜の学校に居るのかというと、それは単純に言うと呼び出されたのである。正確には間違えて来てしまった。

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