A Missing One 第2話『朝、変わらない日常』その1


「プールの水がなくなった?!」「あぁ」短かった夏休みも明け、月初めの9月1日。
太陽が多少控えになりながらもまだ激しく照りつける中、新学期は開始された。俺は久しぶりの早起きについていけず、眠い目をこすりながら通学路を歩いている。
「じゃあプールの授業なくなんのか?数少ない目の保養場だってのに」
「柏戸、授業サボってまで覗きなんかするなよな…バカらしい」
確かこいつの家は代々続く名家のはずなんだが…しかし次の当主がこいつじゃあ、柏戸家はお先真っ暗だろう。
「加藤、お前はなにもわかっちゃいない」柏戸はビシッと俺を指差し偉い教師を気取って言った。
「いいか?これは極めて常識的な行動だ。そう、とんかつには醤油ではなくソースだというぐらいに当たり前のことなんだ。わかるだ…」
「わかる気はない」話にかぶせる即答に多少へこんだのか、柏戸…中学からの悪友、柏戸充(かしわど みつる)は黙りこんだ。
薄茶色の癖っ毛を首の辺りまで伸ばし、しわの寄ったカッターシャツをだらしなく出している。その姿はとてもサッカー部期待の1年エースとは思えない…

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