A Missing One 第2話『朝、変わらない日常』その4
「何疑問形で聞いてんだよ、そもそも怪物ってなんだ?」
「人でなし、なんでしょ?だったら怪物でもいいのかな〜、って」
「また訳のわからんことを…」理解に苦しむ槙本理論を適当に叩くと
「むー」槙本は頬をいっぱいに膨らませてこっちを見た。俺はあえて視線を逸らし柏戸の方を向く。しかし柏戸が(熱い熱い)と手で扇ぐジェスチャーをしたので俺は奴のスネを2度蹴りつけてやった。
「痛っ!なにも2回蹴らなくてもいいだろーがぁ…」柏戸の訴えを地獄に落ちろのジェスチャーで退けた俺は、なんだか袖を引っ張られているような気がして自分の袖を見た、…案の定槙本が引っ張っている
「なんだよ、もう怪物の話はいいぞ」
「違うもん。カトちゃんさ」
「カトちゃん言うな」1日に何回やってんだろうな、この会話。今度数えてみよう。
「待ってて、って言ったのに先行っちゃうんだもん。もう疲れちゃったよ〜。だからぁ少し掴まらせてくれない?」
「断る」
「鬼ぃ〜」
「お前がすぐに起きないのが悪い」
「だってだって、お母さんが起こしてくれないんだもん」
「知るか」
「あっ!待ってよ〜」
……いつもの何気ない日常会話は学校に着くまで続いた。
しかしその時にはもう事件は始まっていたのだ……プールの水がなくなった8月31日、俺が見た光景は不可解な事件の幕をひっそりと上げていて、それは俺達の日常生活を少しずつ奪いながら、非日常の舞台場へと静かに、だが確実に誘っていった……
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